【社会福祉法人】社会福祉充実残額の算定・計画の策定 FAQ

【平成29年2月17日追記】※平成29年2月13日発出事務連絡「社会福祉充実計画の承認等に関するQ&A(vol.1)」について の内容を追加しました。

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目次

社会福祉充実残額は、毎年度計算するのか?

 毎会計年度、算定しなければなりません。
 社会福祉充実計画の実施期間中であっても算定しなければなりません。
 一度算定した金額が永続的に固定されるわけではありません。

「控除対象財産」という区分は、財産の使途を限定するものであるのか?

 社会福祉充実残額を計算するためのルールであり、実際上・会計上の使途を限定するものではありません。

社会福祉充実計画の内容はどのように判断すればよいのか?

 地域の福祉ニーズを踏まえつつ、法人ぞれぞれが自主的に判断することとなります。
 収益事業を除き、多様な使途に活用可能です(例:職員処遇の改善、建物の建替え、既存事業の充実、新規事業の展開)。
 所轄庁は、明らかに不合理な計画でなければ、法人の自主性を尊重し、承認を行うこととされています。

社会福祉充実計画は、どのくらいの期間で立てればよいのか?

 原則として、5年で社会福祉充実残額全額を活用する計画を立てます。ただし合理的な理由があれば計画期間を10年まで延長することができます。

「主として施設・事業所の経営目的としていない法人等の特例」とは?

 資金収支計算書における「事業活動支出計」の1年分を控除額として使うことのできる特例です。
 「再取得に必要な財産」と「必要な運転資金」の合計が、「事業活動支出計」1年分よりも低い場合に適用できます。
 注意点としては、特例を適用した場合、「社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等」と「再取得に必要な財産」の合計がまったく控除できなくなることです。

 したがって控除額の計算方法は2通りあることになります。

・特例適用なし

 控除額=「社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等」+「再取得に必要な財産」+「事業活動支出計」3ヶ月分

・特例適用あり

 控除額=「事業活動支出計」1年分

「活用可能な財産」がマイナスになる場合は?

 活用可能な財産は、「資産-負債-基本金-国庫補助等特別積立金」で求められますが、この計算結果が0以下になる場合は、それ以降の計算をしなくてもよいとされています。
 そのあとの計算は「活用可能な財産」の金額からマイナスしていくだけなので。絶対に社会福祉充実残額が出ることはないためだと思われます。

社会福祉充実残額が出た場合、どのように使途を検討するのか?

 以下の順で実施事業を検討し、社会福祉充実計画を策定します。

  1. 社会福祉事業及び社会福祉法第2条第4項第4号に規定する事業に該当する公益事業
  2. 地域公益事業
  3. 公益事業のうち1及び2に該当する事業以外のもの

 具体的には、

  • 職員処遇の改善
  • 既存建物の建替
  • 新規施設の建設
  • 人材新規雇用
  • 新たな取組の事業費

 など、社会福祉法人が「地域の福祉ニーズ等を踏まえた上」で決定することとされています。

措置費施設(保育園、ケアハウス等)において社会福祉充実残額が生じた場合、措置費を社会福祉充実計画の事業に使うことはできるのか?

 できます。

社会福祉充実残額の算定結果は、所轄庁にどのような形で提出するのか? 社会福祉充実残額が生じなくても提出する必要があるのか?

 すべての社会福祉法人が「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」あるいは郵送・電子メールを用いて提出しなければなりません(提出期限は6月30日)。
 ちなみに現況報告書にも、社会福祉充実残額に関する情報を記載する項目があります。

社会福祉充実残額の算定単位は?

 法人全体です。

人件費積立資産、施設整備積立資産、大規模災害積立資産は、計算上、控除対象財産となるのか?

 なりません。法人ごとにその積立金額を任意に決められるからです。
 ただし、社会福祉充実計画実施期間中であっても、法人の判断でそれらの積立資産を取り崩すことはかまいません。

赤い羽根共同募金積立資産は控除対象財産となるか?

 なります。募金を社会に分配することが目的の資産だからです。

助成事業の原資となる積立資産は控除対象財産となるか?

 民間団体等に助成を行うこと=資金を渡すことが目的の資産だからです。
 ただし社会福祉充実計画で助成事業を行うことが決まった場合は、すでに積み立ててある助成事業積立資産は控除対象財産とはなりません。

翌年度に新たな施設を建設する場合、その建設費用を控除対象財産としてもよいか?

 契約を締結し、金額・着工時期などが確定しているときは自己資金(寄附金含む)部分を控除してもかまいません。

設立時に基本財産の定期預金として3億円を所轄庁から認められたが、全額控除対象財産としてよいか?

 その事実が客観的に確認できる書類がある場合に、全額を控除対象財産とすることができます。

「国や自治体からの補助を受け、又は寄付者等から使途・目的が明確に特定されている寄付金等により設置された積立資産等」とは?

 「国や自治体からの補助を受けて設置された積立資産等」とは、生活福祉資金貸付事業や介護福祉士等修学資金貸付事業の貸付原資などのことです。

 「寄付者等から使途・目的が明確に特定されている寄付金等により設置された積立資産等」とは、寄付金の募集要綱・会則・申込書などにおいて、「○○施設の運営」「○○事業の実施」など、使途が明記されている積立資産などのことです。「法人運営全般」のように、法人に判断が広く委ねられるような記載のものは控除対象財産に該当しないため、注意が必要です。

原子力発電所事故による東京電力からの賠償金は控除対象財産となるのか?

 なります。原状回復のために必要な資金だからです。

「活用可能な財産」の計算で対応基本金の調整をする際、3号基本金を調整に使わないのはなぜ?

 3号基本金は、施設の創設や増築時などに「運転資金」に充てるために頂いた寄附金であり、不動産と直接の関係がないことから、調整には使いません。

財産目録で、ある資産が大量にある場合、控除対象となる資産とならない資産に区分し、それぞれの代表例と数量を記載する方法でもよいか?

 よいです。
(記載例)車輌運搬具のケース
【控除対象】トヨタハイエース他15台
【控除非対象】ダイハツタント他11台

現預金の中で貸付事業の原資などは控除対象財産となるのか?

 なります。
 (記載例)
 【控除対象】 5,000,000円 社会福祉貸付事業原資として
 【控除非対象】10,000,000円

「再取得に必要な財産」の算定は、建物ごとに行うが、増築・改築・大規模修繕を行っている場合はどうすればよいか?

 建物本体の部分と増築などの部分を区分してそれぞれ計算を行います(財産目録においても区分して表示します)。
 しかし区分が困難なものについては、建物本体に含めて計算しても良いとされています(取得年度も建物に合わせます)。

「再取得に必要な財産」の算定で、建物本体部分と増築部分とに分けて計算を行う場合、照明設備等の建物付属設備の更新費用など、両者が一体不可分であって、これらを明確に区分できない固定資産についてはどうすればよいか?

 建物延床面積割合など、合理的な方法により按分することとされています。

中古物件は、「再取得に必要な財産」の計算方法が変わるか?

 変わりません。新規取得資産と同様に、取得価額の範囲内で減価償却を行い、算定します。

減価償却累計額の算定をするとき、建物付属設備はどのように取り扱うのか?

 それが含まれる建物に含めて計算を行います。建物と建物付属設備の取得年度が異なる場合であっても、建物の取得年度で計算を行います。

「建物建設時の1㎡当たり単価」の算出では、「賃借建物の内部造作」や「建物本体から独立した物置」などについては、どのように扱うか?

 床面積ではなく、取得年度の「建設工事費デフレーター」の値を使用します。

自治体から建物の無償譲渡を受けた場合の「建設時の自己資金比率」は?

 0%です。
 ただし、計算上は「一般的な自己資金比率」の22%を適用することができます。

個人から建物の寄附を受けた場合の「建設時の自己資金比率」は?

 100%です(建設時の自己資金には寄附金を含むため)。

「建物の建設に係る自己資金額」には、どのような費用を含めるのか?

 以下のような費用を含むことができます。

  • 建物本体の建設費用
  • 土地の造成費
  • 既存建物の解体費用
  • 仮移転等費用
  • 設計監理などの費用
  • 建物と一体的に整備した設備(厨房設備、機械浴槽等)
  • 外構工事費

※土地の取得費用は含みません

「大規模修繕費」とは?

 大規模修繕費とは、施設や設備の経年劣化に伴う、広範囲にわたる補修や、設備の更新・新設等の工事に係る費用をさします。
 会計処理上、固定資産に計上される資本的支出に限らず、下記のような工事に係る支出の合計額をいいます。
 建物の一部だけを補修するもの、応急的・一時的なもの、点検など、メンテナンスに係る費用は大規模修繕に含めません。
 なお、大規模修繕に係る支出実績額が一部でも不明な場合には、不明であるときの計算式を用いてよいとされています。

【大規模修繕の例】

■外壁

  • 全面的なタイルの補修
  • 全面的なシール更新
  • 全面的な外壁塗り直し

■屋根・防水

  • 防水トップコートの更新
  • バルコニー防水シートの更新
  • 屋根の塗り直し

■内装

  • 居室・トイレ・浴室のリニューアル
  • 事務室のOA フロア化

■電気

  • 地上デジタルTV 設備の導入
  • 照明のLED 化
  • 受電設備のトランス更新
  • 施設内通信設備の導入
  • 電気容量の増強

■空調

  • 空調の個別化
  • 空調配管の更新
  • 中央監視設備の更新

■給排水設備

  • 給湯器の更新(電化を含む)給水・給湯ポンプの更新
  • 排水管のライニング更新
  • トイレ増設

■昇降機

  • エレベーターの巻上機・制御盤・かごなどの更新
  • ダムウェーターの更新

■その他

  • 厨房設備の更新
  • インターホン・IC カード等セキュリティ対策工事
  • エントランスにスロープ設置

【大規模修繕ではない例】

■外壁

  • 剥落した一部タイルの補修
  • 割れた窓ガラスの交換
  • 外壁調査

■屋根・防水

  • 破損した防水の部分的な補修
  • 屋根の塗装が落ちた部分の補修

■内装

  • 一部クロスが剥げた部分の補修
  • 漏水した部分の天井補修
  • 扉の開閉不良の調整

■電気

  • 管球の交換
  • 一部コンセントの不良補修
  • 事務室内LAN・電話の敷設工事

■空調

  • 空調配管の漏水した部分の補修
  • 空調機等の故障部分のみの修理
  • 空調機オーバーホール
  • フィルター・ダクト清掃

■給排水設備

  • 排水管の清掃
  • 水栓金物の漏水補修

■昇降機

  • エレベーターの定期保守・点検・メンテナンス

■その他

  • ベッドや家具などの取替
  • 外構植栽の剪定

Q.「主として施設・事業所の経営を目的としていない法人等の特例」は、「再取得に必要な財産」と「必要な運転資金」の合計額が法人全体資金収支計算書の「年間事業活動支出」を下回った場合、適用を受けられるのか?

 そうです。

社会福祉充実残額は、会計処理上、その他の積立金及び積立資産などとして計上しなければならないのか?

 必要ありません。法人の判断で、区分して保有してもかまわないこととされています。

「活用可能な財産」の額が、「社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等」、「再取得に必要な財産」、「必要な運転資金」、「年間事業活動支出」のいずれかを下回った場合、その他の計算を省略してもいいのか?

 かまいません。ただし、下回ることが明らかにわかるよう、算定シート上に計算をある程度残しておかなければなりません。

社会福祉充実残額が極めて少額である場合でも、社会福祉充実計画を作成する必要があるのか?

 社会福祉充実残額が極めて少額であり、かつ社会福祉充実計画を策定するコストがこれを上回る場合には、社会福祉充実計画を作成しなくてもかまいません。
ちなみに、その金額を他の財源を組み合わせて、社会福祉充実計画を策定・実施することもかまわないとされています。

社会福祉充実計画において、災害等に備えた積立てを行う、単に別の社会福祉法人に資金を拠出する、建物に係る借入金を返済する、などの内容は認められるか?

 認められません。
社会福祉充実計画の内容としては、法人が社会福祉充実残額を活用し、一定の対象者に対して、受益的なサービスや給付等の実施・充実を図るための支出を行う事業をおこなうこととされています。
単に資金の積み立てを行う、単に資金を拠出する、単に既存の借入金を返済する、といった内容の計画は認められません。

社会福祉充実計画に記載する「事業費」には人件費や事務費は含めるのか?

 含めます。社会福祉充実残額に係る支出の全体を記載してください。

既に実施している事業を「社会福祉充実計画に基づく社会福祉充実事業」に振り替えることは可能?

 可能です。「既存事業の充実」として認められます。

原案について、評議員会で承認を受けた後に、公認会計士・税理士等に確認書の作成を依頼してもよいか?

 かまいません。ただし確認の結果、原案を修正することになったときは、再度評議員会に諮る必要があります。

複数地域で事業を実施する場合、どの地域で申請を行うべきか?

 地域によらず、法人の所轄庁に申請を行ってください。

社会福祉充実事業の実施地域についての制限はあるか?

 ありません。

確認は,業務委託を行っている公認会計士・税理士や、これらの資格を有する法人の役職員でも可能か?

 可能です。

複数の社会福祉法人の充実事業区域が重なり、偏りが出る場合、所轄庁や社協などがこれを調整してもよいか?

 かまいません。ただし最終的な判断は個々の社会福祉法人に委ねられています。

公認会計士・税理士等の確認のための費用に、社会福祉充実残額を充ててもいいのか?

 かまいません。社会福祉充実計画の策定に必要な費用であるためです。

社会福祉充実計画の見直し・変更は、どの時期に行うべきか?

 原則として、所轄庁へ計算書類等を提出する時期(6月末)に行います。災害のなど、策定時から大幅な変更がある場合は、随時行うべきであるとされています。

社会福祉充実計画の実施中に残額が変動した場合、変更手続きを行う必要はあるのか?

 承認された社会福祉充実計画書類に記載されている社会福祉充実残額は、申請時における見込額であることから、実際の社会福祉充実残額が変動したことのみをもって計画の変更手続きを行う必要はありません。
 ただし、残額の変動が、計画上の残額と大幅に乖離し、再投下すべき事業費を大幅に増やすことのできる状態になった場合などには、計画の変更手続きを行うことが求められます。

緊急的な別の支出の必要性が生じた場合に、所轄庁の承認を得ずに、社会福祉充実残額をその支出に充てることはできるのか?

 可能です。その場合は事後に所轄庁と調整の上、必要に応じて社会福祉充実計画の変更等の手続きを行うことが求められます。

不測の事態により社会福祉充実残額が不足する場合、どうすればよいか?

 社会福祉充実計画を終了することとなります。

<保育園会計の監査の視点>

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