【社会福祉法人】資金の取扱い・繰入の要注意点

社会福祉法人 資金の繰入 取り扱い 社会福祉法人の会計

目次

はじめに

 社会福祉法人は資金の移動・繰入についてさまざまな制限があります。
 気をつけるべき点をまとめてみました。

 

特別養護老人ホームにおける繰越金等の取扱い

資金の運用

 

 原則として、施設報酬を主たる財源とする資金の使途について、制限はありません。
 ただし以下の経費に充てることはできません。

 

  • 収益事業に要する経費
  • 当該特養を経営する社会福祉法人外への資金流出(貸付を含む)に属する経費
  • 実質的な剰余金の配当と認められる経費(高額な役員報酬など)

 

資金の繰入

 

 当期資金収支差額に資金不足が生じない範囲内において、他の社会福祉事業、公益事業に資金を繰り入れてもさしつかえません。

 

措置費施設の運営費に関する弾力運用

弾力運用が認められる要件

 

 措置費を受け取っている施設は、その用途に厳しい制限があります。
 しかし以下の要件をすべてを満たすと、弾力運用をしてもよいとされています。

 

  • 適正な法人運用が確保されていると認められること(組織運営、行っている事業、人事管理、資産管理、会計管理等が適正に行われていること)
  • 適正な施設運営が確保されていると認められること
  • 社会福祉法人会計基準に基づく財産目録、貸借対照表及び収支計算書が公開されていること
  • 利用者本位のサービス提供のための取り組みが実施されていること

 

資金の貸借

原則

 

 社会福祉法人は基本的に、法人外への金銭の貸付けは認められません(例外は「生活困難者や母子及び寡婦福祉法」11条に基づく貸付け事業)。

 

法人本部から同法人内の他施設へ

 

 他の事業区分、拠点区分、サービス区分に貸し付けることに差し支えはありません。
 また、貸付金の清算期間に定めもありません。

 

保育所や措置費支弁対象施設から他の施設へ

 

 同一法人内において、経営上やむを得ないとき、かつ当該年度に清算するものに限って認められます。
 ※支弁=金銭を支払うこと

 

介護保険事業から他の施設へ

 

 以下に関する介護報酬は、他の社会福祉事業・公益事業・収益事業へ一時繰替ができます。

  • 指定介護老人福祉施設
  • 介護保険の指定特定施設入所者生活介護を行う軽費老人ホーム
  • 介護保険の指定居宅サービス

 ただし、介護保険の居宅サービス事業以外に繰替えたときは、年度内に補填しなければいけません。

 

事業区分間の繰入

事業区分間(と法人本部)の繰入制限をまとめると、以下の通りです。

 

  • 社会福祉事業 → 法人本部 : ○
  • 社会福祉事業 → 公益事業 : ○
  • 社会福祉事業 → 収益事業 : ×

 

  • 公益事業 → 法人本部 : ○
  • 公益事業 → 社会福祉事業 : ○
  • 公益事業 → 収益事業 : ×

 

  • 収益事業 → 法人本部 : ○
  • 収益事業 → 社会福祉事業 : ○
  • 収益事業 → 公益事業 : ○

 

収入別の繰入制限

収入別において、資金の繰入制限があります。以下に注意点を述べます。

 

介護関係・障害関係

 

CF「経常活動収支差額」がプラスの場合、繰入を行ってもなおCF「当期資金収支差額」がプラスになるときにのみ繰入を行うことができます。

 

ただし上記がマイナスとなる場合でも、繰入先が「居宅サービス」や「指定障害者支援施設等の事業」であれば、当期末支払資金残高がマイナスにならない範囲で繰入可能です。

 

保育関係・措置関係

 

保育施設や措置施設における他区分への繰入は大変厳しい制限があります。

 

社会福祉事業や法人本部へは、弾力運用の条件をクリアした上で、CF「運用収入+前期末支払資金残高」の金額を限度として繰入が可能です。

 

公益事業へは、「保育所と一体的に運営される事業規模の小さい公益事業」にのみ、「繰入金」(CF「前期末支払資金残高」と解釈?)の10%を限度として繰入を行うことができます。

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