地方自治体は、平成30年3月31日までに、統一基準によって、平成28年度の財務四表を作成しなければなりません。
統一基準での作成にあたり、以前の地方公会計の特徴をおさらいしてみます。
目次
民間企業とは会計の目的が違う
民間企業は「いくら儲かったのか?」「企業の資産と負債の状況(財政状態)はどうなっているのか?」「株主の配分はどうするのか?といったことに主眼が置かれています。
地方自治体の公会計では、「議会で決めた予算どおりにお金が使われたか」が大切になってきます。
だから、お金の動き(使った状況)を知ることのできる財務諸表が重宝されています。
企業会計でいう「損益計算書」にあたるものも、「行政コスト計算書」と、コストつまり費用に重点を置いた名前ならも、その一端をうかがうことができます。
統一基準以前の公会計の特徴
人件費
人件費の計上は、自治体でまとめて計上していました。
細かな事業別や活動別には、人件費を把握することは困難でした。
退職金は、支払時にのみ、会計に出てきていました。
本来、退職金は、勤務期間すべてに係る費用のはずですから、在籍している期間すべてで、退職に係る費用を計上すべきです。
減価償却費
減価償却費は計上されていませんでした。
耐用年数や残存価額の設定もなされてはいませんでした。
建物や設備などの固定資産に関しては、購入時すなわち支払ったときにのみ会計処理が行われていました。
地方債
地方債の返済を行ったさい、元金部分と利息部分をまとめて会計処理をしていました。
統一基準では、元金返済部分と、支払利息部分を区別して計上することが求められています。
共通経費
共通経費は適切に配賦されていないことがありました。