【社会福祉法人】社会福祉法人会計の基本

白紙のノートと観葉植物 社会福祉法人の会計

社会福祉法人の会計を学ぶにあたって「一取引二仕訳」と「財務三表の相互関係」は必ず押さえておくべきことがらになります。
本記事では、それらについて解説いたします。

 

 

目次

一取引二仕訳

 

社会福祉法人会計では、1つの取引について2本の仕訳を行うことが多いです。
以下の例をご覧ください。

 

 

例:国保連に介護報酬100を請求し、未収計上を行なった。
事業未収金 / 介護保険事業収益 100 …A
支払資金 / 介護保険事業収入 100 …B

 

 

Aの仕訳は、事業活動計算書と貸借対照表に記載される科目を使用しています。
Bの仕訳は、資金収支計算書に記載される科目を使用しています。

 

 

上記Bの仕訳は、資金収支計算書に集計されるため、「資金仕訳」と呼ばれます。
なお、減価償却や固定資産受贈益など、資金仕訳の出てこない取引もありますので、注意が必要です。
※ここでは、流動資産と流動負債を総称して「資金項目」と呼んでいます。

 

 

会計ソフト(会計システム)によって、一取引二仕訳への対応はまちまちです。
2本の仕訳のうち1本を入力すると、もう1本が自動起票される仕組みになっているものが多い印象です。

 

財務三表

 

財務三表とは資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表をいいます。
財務三表のそれぞれの定義と、相互の繋がりについても、確認しておきたいと思います。

 

 

資金収支計算書

 

支払資金の状態を表示します。
支払資金の定義については、割愛します。
ちなみに、社会福祉法人の作成する予算書の書式は会計基準に規定されていませんが、実務上は資金収支計算書を基に作成されます。

 

 

事業活動計算書

 

法人の行う事業によって生じた増減差額(損益)を表示します。
この増減差額は、必ずしも現金同等物の増減と一致しないことに注意が必要です。

 

 

貸借対照表

 

法人が保有する財産の形と、その財源を表示します。
財産の形は資産の部に、財源は負債及び純資産の部にそれぞれ表示されます。

 

財務三表の相互関係

 

財務三表の相互関係については、貸借対照表を中心として考えます。
大まかに、流動資産と流動負債の差額が当期末支払資金残高となり、貸借対照表上の次期繰越活動増減差額は事業活動計算書の同名科目と一致します。
(資金残高については一部例外がありますが)。

 

 

見方を変えると、資金収支計算書は貸借対照表から計算された支払資金残高の明細書と言えます。
また、事業活動計算書は貸借対照表上の次期繰越活動増減差額の明細書と言えます。

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