就職する前に、企業から就職支度金が支給される場合があります。
その場合の就職支度金は、税法上どのような取り扱いになるのでしょうか。
就職する前なので、給与所得として計算をすることができないのでしょうか。
(前置きが少しあるので、お急ぎの方は「結論」だけお読みください)
目次
所得税法基本通達35-1の(9)によると
「雑所得」のうちの「役務の提供の対価が給与等とされる者が支払を受ける法第204条第1項第7号《源泉徴収義務》に掲げる契約金」にあたります。
所得税法基本通達204-29によると
「法第204条第1項第7号に掲げる契約金には、役務の提供の対価が給与等とされる者が当該役務の提供契約を締結するに際して支払を受ける契約金も含まれる」とされています。
「(注)上記の契約金は、雑所得となり、法第2条第1項第24号《定義》に規定する臨時所得に該当する場合があることに留意する」ともあります。
所得税法基本通達204-30によると
「法第204条第1項第7号に掲げる契約金には、一定の者のために役務を提供し又はそれ以外の者のために役務を提供しないことを約することにより一時に支払を受ける契約金、支度金、移転料等の全てのものが含まれる。
ただし、その役務の提供の対価が給与等とされる者の就職に伴う転居のための費用で、他の契約金と明確に区分して支払われ、かつ、法第9条第1項第4号に掲げる金品に該当すると認められるものについては、この限りではない」とされています。
結論
前置きが長くなってしまいましたが、ここで結論です。
上記記載より、就職支度金のうち、転居費用などを区分し、かつ通常必要な費用の範囲内(旅費規程等の整備が必要です)である場合、「実費弁償」となるため、所得税の対象外となります。
一方、それ以外の契約金に該当する部分については、「雑所得」として取り扱われることとなります(この場合は源泉所得税を10.21%徴収します)。
ちなみに、就職支度金を採用後に支払う場合は「賞与」であり、給与所得となります(源泉徴収の対象です)。