目次
はじめに
令和元年6月1日以降、ふるさと納税に係る指定制度が創設されます。
下記の基準に適合した地方自治体をふるさと納税の対象として指定することとされました。
基準
□寄附金の募集を適正に実施していること
□返礼品を送付する場合には以下のいずれも満たしていること
・返礼割合が3割以下
・地場産品であること
この指定を受けない自治体に対する寄附はふるさと納税特別控除の対象外となります。
返礼品が豪華なことで話題となった自治体が指定団体とされるかどうか注目しています。
ふるさと納税Q&A
平成31年4月1日付でふるさと納税に関するQ&Aが通知されました。
気になるところを抜粋・要約しました。
条件1「寄附金の募集を適正に実施していること」
⬜︎第三者に謝金を支払う等により寄附者の勧誘・紹介をさせるような行為はNG
⬜︎返戻品を強調した宣伝広告はNG
たとえば寄附広告の大部分を返戻品情報が占めるなどが該当します。
⬜︎ふるさと納税ポータルサイトでの通常の情報提供はOK
⬜︎寄附者による適切な寄付先の選択を阻害するような表現はNG
「寄附者による適切な寄付先の選択を阻害するような表現」の例として、下記の表現が挙げられています。
- お得
- コスパ最強
- ドカ盛り
- 圧倒的なボリューム
- おまけ付き
- セール
- 買う
- 購入
- 還元
どれも頭がくらくらするようなキーワードです。これらで検索するとふるさと納税指定団体から外される自治体が明らかになるかもしれません。
条件2「返戻品」
⬜︎自治体内で生産されたものであること
(OK例)
- 区域内で生産された牛乳・果物を100%使用して区域外で作られたジェラート
- 区域内で生産された酒米を100%使用して区域外で醸造された酒
- 区域内で生産された柑橘を90%以上使用して区域外で作られたジュース
(NG例)
- 区域内で生産された牛乳を10%使用して区域外で作られたアイスクリーム
- 区域内で生産された醤油・ポン酢を使用して区域外で作られたもつ鍋や水炊き
- 区域内で製造された鉄を使用して作られたスチール缶に詰められたビール
⬜︎自治体内で製造・加工を行う場合は相応の付加価値が生じていること
(OK例)
- 区域外で生産された豚肉を購入し、その後の工程(切断・調理・袋詰め)をすべて区域内の事業者が行っている
- 区域外で生産された原材料を購入し、区域内で醸造された酒
- 区域外で生産されたグラスに区域内で地域の伝統的な模様を施した
(NG例)
- 海外で生産したものを区域内事業者が検品したラジオ
- 区域内事業者が監修し区域外で生産されているペットボトルのお茶
- 区域内事業者がパッケージした区域外で生産されたフルーツ
- 区域内事業者がオリジナルのシールを貼った区域外で生産されたビール
⬜︎キャラクターものは自治体に関連があること
(OK例)
- ゆるキャラグッズ
- 当該地方公共団体をホームとするスポーツチームグッズ
(NG例)
- 区域の協同組合に加盟しているが区域内に工場がなく区域外で製造したおもちゃ
- 区域内で創業した事業者が区域外で生産する即席麺
- 区域出身者であるパティシエが区域外で製造する洋菓子
⬜︎返礼品に何かを付ける場合は関連性があること
(OK例)
- 区域内で生産されたイクラとお米のセット
- 区域内で製造されたそばと区域外で製造されたそばつゆのセット
(NG例)
- 区域外で生産された商品に自治体のPR冊子を付けた
- 区域外で製造されたビールに区域内で生産されたタオルを付けた
- 海外製タブレットに区域内を探索できるアプリをダウンロードして返戻品とした
※姉妹都市や友好都市、返戻品等の提供を目的とした協定の締結団体の特産品等は、地場産品とは認められない。
おわりに
Q&AのNG例を見ていると、そんなやり方の返戻品もあったのかと工夫に驚くばかりです。
今回基準が定められたことによって中央はこれまで以上に厳しくなるでしょう。
租税制度設計の難しさが感じられます。